治験とは、病気に効果があり人に使用しても安全と予測される薬の効果や安全性を確認するための臨床試験のことです。新しい薬は、健康な成人や患者さんに協力してもらった治験の結果を国に提出し、審査と承認を経てはじめて、処方や販売が行えます。

治験がスムーズに進行するよう調整を行うのが、治験コーディネーターの仕事です。略してCRCと呼ばれています。治験コーディネーターは、製薬会社と医療機関と協力して治験を進めていき、被験者をサポートします。

治験コーディネーターは、主に医療機関で業務に携わります。雇用パターンは3つあり、医療機関の治験事務局に直接雇用されるパターンと、民間企業である「治験施設支援機関(SMO)」に所属して医療機関に派遣されるパターン、そして製薬会社に雇用されるパターンです。治験コーディネーターになるための専門資格はありませんが、看護師や臨床検査技師、薬剤師などの医療系資格を持っていると、転職や待遇条件において有利に働きます。

特に看護師は、医療知識があり、コミュニケーション能力が高いことが評価されます。治験責任医師の業務補助で医療専門用語を理解できる、被験者とコミュニケ―ションを取って不安を軽減させる、臨床現場で円滑にサポートできる、カルテを判読できるなど、業務では看護師の経験を広い範囲で活かせます。

また、病院の看護師に比べ、受け持つ被験者は少ない傾向にあり、一人一人のケアとサポートにしっかりと関わることができます。そのため、患者さんにしっかり寄り添った看護をしたいという方は、大きなやりがいを感じながら働けるでしょう。